視力は正常なのに、なぜ読書が続かないのか
「視力チェックでは問題がないのに、本を読むとすぐ目が疲れると言う」「行を飛ばして読んでしまう」「長い時間読み続けられない」――そんな疑問を持つ保護者の方は少なくありません。
一般的な視力表で確認できるのは、はっきり見えるかどうかです。本を読む、字を書く、スマートフォンを見るといった場面では、両目がそろって内側に寄り、左右の目で見た像をひとつに重ね合わせる必要があります。この両目の協調は、視力表だけでは十分に判断できません。
勉強や読書、デジタル機器の使用時間が増えるにつれ、子どもが近くを見る時間はますます長くなっています。両目が快適に、長く一緒に働けるかどうかは、目の健康において注目すべきポイントのひとつです。
研究データから学校での取り組みへ
今年1月高雄で行われた学校での研究。両眼視機能の詳しい評価を受けた小学3〜6年生219名のうち、35.2%に両目の協調に関するサインが少なくともひとつ見られ、その結果は国際学術誌『BMC Ophthalmology』に掲載されています。
この数字は正しく読み取る必要があります。35.2%は研究の対象者のうち関連するサインが少なくともひとつ見られた割合であり、同じ割合の子どもに問題があると確定したわけではありません。さらに対応が必要かどうかは、専門家が詳しい結果に基づいて判断します。
研究が示したのは「どれくらいの子どもに注意が必要か」でした。今年の取り組みはその一歩先へ進み、学術・医療・視光(オプトメトリー)・公益の各チームが連携して学校を訪問。これまでに児童の目の健康と両眼視機能の測定を約1,300件実施し、さらに支援が必要な子どもには、その後の評価・エクササイズ・フォローアップを手配しています。
学校の現場で行った測定
測定は学校の現場で直接行われました。専門家は、近くを見るときの両目の位置関係、両目がどこまで近くに寄せられるか、そして遠くと近くを切り替えるときの両目の協調のしなやかさを確認します。
器具や定規のほか、カードなどの道具も使い、さまざまな角度から両目がそろって働く様子を確認しました。測定結果はすべて専門家が読み取り、さらに対応が必要な子どもを見極めます。
測定・評価・エクササイズ・フォローアップの4ステップ
この取り組みの特長は、注意が必要な子どもを見つけるだけで終わらず、その後のステップをひとつの流れにつなげている点です。
- 測定:専門家が学校を訪れ、両眼視機能を測定
- 評価:専門家が詳しい結果をもとに、その後の対応が必要かを判断
- エクササイズ:さらに支援が必要な子どもには、評価結果に応じて回転プリズムによるビジョンエクササイズを実施
- フォローアップ:エクササイズ期間中も継続して経過を確認し、専門家が子どもの状況を把握
当日は専門チームが参加した公益団体のメンバーにも全体の流れを説明し、タブレットの測定データを使って、その後のエクササイズの進め方を紹介しました。
回転プリズムによるビジョンエクササイズは、プリズムの条件を変化させながら、両目の協調と、左右の像をひとつに重ね合わせる働きを練習するものです。
デバイスは一定の手順でエクササイズを進め、記録を残します。エクササイズが必要かどうか、どのように進めるかは、専門家が評価結果に基づいて決めます。保護者の方へ、2つのお願いがあります。
- このエクササイズは両目の協調を練習するもので、メガネの度数とは関係ありません
- エクササイズは専門家の評価と指導のもとで行い、ご自身の判断で行わないでください
計画終了後もサービスを途切れさせない
この取り組みは、国際ロータリー第3490地区 Eクラブの公益支援も受けています。クラブのメンバーは、今年度の計画終了後も引き続き資源を投入し、支援が必要な子どもがエクササイズとフォローアップを続けられるよう後押しして、計画期間の終了によってサービスが途切れないようにしたいと述べています。
学術研究が基礎データを提供し、医療と視光の専門家が測定と判断を担い、公益の力がサービスの継続を支える。これらをつなぐことで、支援が必要な子どもを測定からその後の対応まで見守っていくことを目指しています。
保護者の方が気をつけたいサイン
お子さまの視力が正常でも、次のような様子がよく見られる場合は、専門家による両眼視機能の詳しい評価を考えてみてください。
- 読書や宿題のときに、目が疲れたとよく言う
- 文章を読むとき、よく行を飛ばす
- 近くを見る作業をしばらく続けると、頭が痛くなったり文字がぼやけたりする
- 長い時間読み続けることができない
こうしたサインがあっても必ず問題があるとは限りませんが、一度専門家に相談してみる価値はあります。



